dmachiの日記

読書メモなどです。

『いきなりはじめる仏教入門』感想

 内田樹釈徹宗著のネット上でかわされた文章をまとめたもの。だけどちょこちょこ入る釈氏の宗教や仏教の初歩的な解説がありわかりやすい。「宗教とは、聖なる領域をもち、人間の行為や思考に意味を与え、行動様式を形成する体系」と理解されると釈氏の言葉。また、宗教の分類を、制度宗教と自然宗教に分けられることが多いが、制度宗教が肌感覚まで拡散した形態として市民宗教と呼んでいる。武道や華道や茶道や落語や演歌等々仏教が無自覚化したものがあると。仏教と言っても国、文化、気候によって様々で日本は、思想と儀礼中心の仏教で、聖と俗の境が曖昧な特徴がある。出家して社会も家族も経済活動も捨て物も持たず布切れ一枚で修行に勤めるスタイルは暑い国でないと無理だという。あと、シンクレティズム、習合宗教が日本は豊かだと。イベントや儀式はクリスマスやお盆や様々、文化様式は神棚や仏壇やお守りなど様々、習俗としてはたしなみ的だと。おかげさまでというセリフは何のおかげかという。偉い人の挨拶の定型句も、何々とお祈り申し上げます。

 お布施の一つに、和顔愛語がある。浄土真宗のお経にある言葉で、やさしい顔つき、親しみと愛情と思いやりのある言葉遣いもお布施。戒は、習慣づけの意味合いが強く、戒を守るというより、自分が戒に守られている、戒を守ることは、自分が戒に助けられていると考える。六波羅蜜という教えが、布施、持戒、忍辱、精進、禅定、智慧とある。仏教での実践だけど、普通に人の日々の生活の目安みたいになるんじゃなかろうかと思った。