dmachiの日記

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『日本思想史の名著30』感想

 2018年苅部直著。タイトル通り30冊紹介してある。「古事記」から、中世、近世、近現代のものまで。思想といえば、近代の印象が強かったが、江戸の思想が面白そうだった。伊藤仁斎荻生徂徠山片蟠桃や。江戸の人も様々なことを考えていたことを知ると、それは当たり前のことだけど、改めて、江戸時代を落語などの空想的な話の中のものではなく、少しは実際に人が生きて暮らしていた時代として想像できる。江戸時代といっても、前期と後期でどうやら雰囲気は異なる。後期では豊かになった人が多くなったからなのか、商人が富や学識を持ったからか、わからないが、世の中のことに関心が強くなっているようにも思えた。つまり、儒教の正しい教えは何かだとか、仏教や神道などへの関心、人の道への関心、世界の成り立ちへの関心より、世俗的なことへの関心が人の考えることとして成り立ってくるというような。逆に、世俗的なものが重要視されてくれば、聖なるものへの関心にも集中されるというような。想像だから間違っているかもしれないが、概ね、時代がさかのぼる程、人間や世界や世の中についての真理は何か人の生きる道とは何かというものへの関心と共に思想はあったのじゃないかと思った。江戸時代にくらべれば現代は専門が分化されているから、人が考えることも専門のことになりがちだろうし、専門のことを考えないといけない社会体制になっているといえるのかもしれないと思った。