dmachiの日記

読書メモなどです。

映画メモ

『黒い雨』今村昌平、役者がいいし面白い。
『青空娘』増村保造、話がきっちり。
『原爆の子』新藤兼人、たんたんと。
人間の條件』さすがに九時間は長かったけど飽きない。人間の当たり前の理想を追い求める姿と、過酷すぎる状況。正義を抱える主人公の姿。
血と砂』面白い。岡本節というのか、音楽とコミカルな演出と、でも戦場の過酷と、人情と。
ダイナマイトどんどん』岡本節だけれど、エンタメ強調で漫画色。
『肉弾』岡本節の面白さ。いたずらに悲愴にさせることもなく、悲劇的な青年や市井の人々を描く心のある語り口、にファンになる。子供や女性やおばさんやおじさんやじいさんやばあさんへの眼差し。
『トラトラトラ』、話もシーンも薄く、飛行機のシーンが見所。
『欲望』アントニオーニ、リアリティに関する映画。その点羅生門が上手。この映画では、カメラは映すものを選択するが、その光景を強制させられている感じが前半は特にあった。カメラの映すものは監督やカメラマンによっていいものが選択されて客に見させてくれる、という感じでもなく。また、リアリティと言っても、個人が感じるリアリティに焦点がある。あるいは、人工的で加工的なリアリティに関するもの。だから羅生門のリアリティの考察より弱い。というよりリアリティというものへの眼差しではなく、リアリティを作ったりそれに耽溺する都市や都市住民への眼差し、都市というリアリティ発生装置と絡み合う人々への眼差し、だと思った。だから、羅生門からすれば当たり前のリアリティの問題を、欲望ではことさらわざわざ大げさに問題視しているように見える。しかし、都市の人工的な環境と、住民が密接になっている時代だからこその問題だとも言える。だからなのかやたら見かけのかっこよさに満ちている。ただ、僕はなんでこんな当たり前のリアリティの問題を、取り上げて描いているのかと疑問に思った。それよりも錯綜したリアリティの問題があるだろうと。でも時代による要請だったのだろうか。