dmachiの日記

読書メモなどです。

『amazon』感想

 2018年成毛眞著、副題が、世界最先端の戦略がわかる、と。amazonという企業、組織がどういうものかを記してある。ローマ帝国のようだと何か所かで喩えている。会員数が世界で一億人以上、従業員数が50万人以上、その数は今後更に増える。その帝国的な拡張の仕方はそうなのかもしれない。ただローマ帝国には人々の共同体があったから、一企業と顧客の拡張とどう似ていてどう違うかが知りたくなった。

 amazonはフロー経営で、つまり、営業利益を少ししか出さずに利益となるべき資金を次々に思い切りよく投資に向ける。その経営に投資家を納得させてみせた。その投資先は、クラウドサービスや物流や倉庫やAIや実店舗や企業の買収や顧客開拓サービスなど様々。経営にもテクノロジーにも素人の僕にとっては、その様がとてつもない資金力と素早い決定と大規模かつ他分野への投資ということだろうとぼんやり理解するが、いまいちそのポイントにピンとこない。しかし、現実に、普通に暮らす人にとって、生活のどこかでアマゾンは関わりを持つ企業になっていて、その度合いは今後深まる。だから、著者はこの本を書いてくれている。普通の人に無視できない存在になっていると。

 とにかくアマゾンはネットもリアルも拡張していっている。ある業種のトップの企業を丸ごと駆逐する勢いで。そうなるといかにもアマゾン帝国の支配が進むという印象にもなる。それを可能にしているのは、テクノロジーと資金力と物流だと、感想としては持った。そしてまた、結局のところ、その活動を許容している社会や人の考え方が、それを可能せしめている。僕はそっちの方の、それを可能にしている社会や、それが進んだ社会がどういうものなのかという方に興味がいく。しかしまた、それもなんだかぼんやりとした印象しか持つことができない。

 ジェフベゾスは顧客のための経営を掲げる。そして一企業が顧客のために活動して大きくなっていく。この本ではその内実をわかりやすく説明してくれている。ただ、その活動に関して社会的な評価はしない。あくまで経営に関する事実と、変化する現実を追う。素朴な疑問として、では一体どこまで大きくなるのだろうと思う。ぼんやりながら思うのは、テクノロジーやシステムに価値を持たせて、人の価値を下げていけば、その補完作用として人の価値を高めたいという需要が生じる。その需要はどうなるのだろうか。