dmachiの日記

読書メモなどです。

『希望のビジネス戦略』感想

 2002年の金子勝成毛眞の対談。私は経済もビジネスについても全くの無知なので、話の内容の理解ができないところもあったけど、何となく実際の経営者と経済学者が語る話からどういうものかを類推しつつ読んだ。印象として、金子勝氏は経済やビジネスが語られるその言説に、社会をどう見るかという観点が無いことが不満であり、社会をどう維持するかを含めて経済を語るスタンスだ。一方で、成毛氏は競争の激しいビジネスのシビアな現場からの語りで、しかし社会について全く語らないわけでもなく鋭い知識と洞察を示すが、ただやはり企業家として企業の利益とそれと結びついた日本の国益という観点を優先させている。

 どうやら日本の経済状況はまずく、全くもって展望は暗いと2002年の段階で語られている。金子氏は日本社会が貧していく中で、社会が、人が希望が無くなり混乱に陥る恐れを述べているが、実際そのようになってきていると思う。成毛氏は、外国と戦う企業の人は一握りでいいと言う。それは、実際国民全体で言えば少数の人数で大企業同士がしのぎを削る実情を反映していると思う。その実情の一端も語られるが、要は、雇用を考える国家経営的な考えではなく、企業という組織の利益を、あるいは、企業を通じて利益を得ようとするビジネスマンの、企業経営的な考えが通用する現実が表れている。印象だと社会の維持より企業の利益という考え方が通じる現実は拡大している。経済に無知な読者としてはその現実がどこからきたのか、その実情はどういうものかを知りたくなった。市場原理主義とか新自由主義とか呼ばれるもの的なものだろうけども、その始めなり内実は何なのかと。