dmachiの日記

読書メモなどです。

読書メモ

『砂糖の世界史』川北稔著1996年。
とても面白かった。「世界商品」としての砂糖、あるいはタバコやコーヒーや茶などを巡る状況、16世紀以降の西ヨーロッパ各国の動きが語られる。
国を中心とした歴史でなく、当時の生活事情が語られる中で、現代と当時の違いを想像させられた。新奇で有用な植物をヨーロッパの人たちはアジアやアメリカやアフリカに求めた。
イギリスではクロムウェルが反カトリック、反スペインの宗教心から、航海法を作った。その結果17世紀後半以降のイギリスの貿易は増大した。また彼は東インド会社の組織を株式会社にした。
ポルトガル、オランダ、スペイン、フランス、イギリス各国の争いが、植民政策、奴隷貿易プランテーション経営を通じての貿易上の権益を巡って行われたこと。
19世紀ともなるとイギリスでは、産業革命以降の都市労働者の生活のため、地主や農業経営者を守るための穀物価格の保護政策の転換があった。つまり工場経営者保護に移り、穀物価格を下げた。

イギリスはアフリカとアメリカ、カリブ海とヨーロッパで三角貿易を行った。どうも印象では、西ヨーロッパ人なのかイギリス人なのか、自由気ままに航海に出て商人として貿易をしたり、北米に渡りプランテーションを経営し、莫大な利益を得た。プランテーション経営者や特権商人は莫大な利益を得て、議会への影響力も得た。そんな特権的な人たちが豊かさを得た後に、地方農家や都市労働者にも豊かさが巡った。高価だった砂糖を労働者も紅茶と共に飲むようになった。つまり現代から比べると余程物資食糧に貧しく豊かさが求められた。そしてそのことが理解しやすかった。また豊かさがある程度行き渡ったとしても、産業革命以降、経済的な貧しさがあった。そしてまたイギリスの発展の元には黒人奴隷の働きがあった。
社会の物資食糧の豊かさや都市の論理を考えさせられた。グローバル化された現代は当時のイギリス商人やプランテーション経営者の考え方や動き方の延長上にあると考えていいのだろうか。近代のシステムの延長ということなのだろうか。植民性や競争原理や拡張主義や他を度外視しての利益追求など。科学技術の進歩は速くなっている。
歴史は面白いが知ろうとするときりがないなとも思った。