dmachiの日記

読書メモなどです。

2020-01-01から1年間の記事一覧

読書メモ

『資本主義の終焉と歴史の危機』水野和夫著2014年。 面白くてためになる本という感じだった。基本的には新自由主義、グローバリゼーションがデータと共に批判され、16世紀ヨーロッパと21世紀先進国の状況の相似からいろいろ語られる。前者は陸から海への拡張…

読書メモ

『「派閥」の研究』山本七平1989年。 田中角栄や星亨のやり方や日本の伝統や明治日本の近代化の経緯を参考に派閥を探る。以下印象に残った言葉を文脈を無視してメモ。・日本は法治国家ではなく納得治国家 ・派閥の支配の仕方として、徹底的に恩を施す。この…

読書メモ

『同調圧力』鴻上尚史、佐藤直樹著2020年。世間について論評してきた二人の対談。一回目の対談が5月だという。だから対談に同調圧力に対する警戒心がよく表れていた。5月と今11月では世の中の雰囲気が少し違う。新型コロナという未知のものに対する警戒心…

読書メモ

『教養としての世界史』西村貞二1966年。 220ページ程で世界史を書いている。著者は世界史のデフォルメされた肖像画といっている。面白く読めた。いわゆる教科書的な記述でなく、文の調子として著者の考えを示す部分があり関心を寄せやすかった。基本的な歴…

読書メモ

『乱世を生きる市場原理は嘘かもしれない』橋本治2005年。 ・我々の視点で見るという当たり前のことが忘れられやすい。我々は民主主義をまだ自分のものにしていなくて、だから「自分はどこにいて自分のポジションはなんなのか」ということがよくわからなくな…

読書メモ

『民主主義のつくり方』宇野重規2013年。・ウィリアムジェイムズは自らの経験論を「純粋経験」と呼んだ。それがありその後から人間の意識が生まれ、世界を再構成する。それは個人の心の出来事ではなく、個人に属するものではない。その見方は、ベルクソンの…

読書メモ

『砂糖の世界史』川北稔著1996年。 とても面白かった。「世界商品」としての砂糖、あるいはタバコやコーヒーや茶などを巡る状況、16世紀以降の西ヨーロッパ各国の動きが語られる。 国を中心とした歴史でなく、当時の生活事情が語られる中で、現代と当時の違…

読書メモ

『蜘蛛の糸・杜子春』新潮文庫、大正七年から十二年までの作品の中から児童向けのものが集められている。「蜜柑」や「トロッコ」や「仙人」など特に印象に残った。文学はあまりわからなかったが、面白がれるものもある。ある人にとってある種の本がいかなる…

映画メモ

・「運び屋」2018イーストウッド。面白い。本筋とは関係なく気になったのは、主人公が、契約を裏切り、裏切った相手に対して、契約違反だから好きにしろ恨みもないと話す場面のこと。契約履行か不履行か。私的な諸事情などは関係ない。契約関係を交わした相…

読書メモ

『21世紀の脳科学』、原題が「SOCIAL Why Our Brains Are Wired to Connect」2015年(日本)。以下メモ。 ・自分を取り巻く周囲の環境や人間関係において他者や状況を理解したりどう行動するかを思考することを「社会的思考」、論理的思考や抽象的思考などを…

読書メモ

①『痴人の愛』、1924年から25年にかけて発表されたらしい。私小説風の形で倒錯的な男女の関わりが書かれているが、その倒錯の加速に対し、講釈なり解釈なりの文はあからさまには無く、一読者としては主人公の振舞いになぜそうなっちゃうのかとつっこまずには…

読書メモ

『幻燈辻馬車』山田風太郎著1976年。 自分の手を汚さずに、愛する女を利用し堕落させようとし、というより愛していないからこそ自分の手はきれいなままにして、理想のために女を堕落させることさえする、そういう人間のやることと言えるのかという様。とか、…

読書メモ

『人類の起源、宗教の誕生』2019年 神学、宗教学者と人類学、霊長類学者の対談。 メモ。(数字部分は自分) ・「仲間が持ってきたものを食べるということは、その仲間に命を預けるということに近いわけですよ。」 ①待っている仲間への共感、想像力。仲間が食物…

読書メモ

①『国家を考えてみよう』橋本治著、2016年。 以下メモ。矢印以降は自分のコメント。 ・日本の封建制度はギブアンドテイクの「土地を所有しなくても保証する」というシステム →社会契約的で、個人所有より保証を求めるマインドのニュアンスがあるようだ。 ・「えら…

読書メモ

『今昔物語集』。角川ソフィア文庫で読む。解説が一昔前の凡庸さと言えば言葉は悪いが、無論その知識や背景の説明はためになるものの、ベタな人間ドラマに回収してしまうような、お説教にならないようにしつつお説教でまとめているような感じで、現代語訳も…

読書メモ

①『橋本治と内田樹』2008年。タイトルの二人の対談だけどけっこう長い。雑多な話題。その雑多でとりとめもない話だからまとまりがないという欠点があると言えるが、そんな話の流れの中の言葉だからこその受け取り甲斐もあるかと思った。私が二人の文章を多少…

読書メモ

『じぶん・この不思議な存在』鷲田清一2007年。 以下メモ。 ・人生とは、ある意味では、こうした「じぶんに語って聞かせる説話」が自他のあいだでたがいに無効化しあう不協和のなかにあって何度も何度も破綻する過程であり、またそれをたえず別のしかたで物…

読書メモ

①『日本の難点』宮台真司2009年。えらく幅広い領域の物事が語られる。人という存在のことから法律のことまで。学問の知見を通して語られる。よくここまで語れるな凄いと思った。利他的な凄いやつが感染を引き起こすという考えが所々に出される。幸福とは何で…

読書メモ

①『戦中派天才老人山田風太郎』関川夏央、1998年。おそらく1995年に関川夏央が山田風太郎宅を訪ねて話したもの。日本は脆い国で(当時において)史上最高の状態だがそれが十年二十年ともつわけがないと山田風太郎が言う。山田流の言い方で、著者がはじめにに…

読書メモ

①『死なないでいる理由』鷲田清一。2008年。全体的な語りの論調はまとめきれないが、人の生き死にがテーマでもあり、成熟や幸福や家族の話もある。この本で「生きていることは生きていないということより価値がある、在ることは無いことより価値があるといい…

読書メモ

①『父権制の崩壊 あるいは指導者はもう来ない』2019年。橋本治著。既に終わっていた家父長制が人々の幻影としてあったがそれも終わったという話。それは家という制度の崩壊でもあり、上下関係を成り立たせていた現実の崩壊でもある。そこで問題は上下関係の…

『臨床とことば』メモ

河合隼雄と鷲田清一による対談と短い論考が載っている。対談は凄かったというしかなく、なんといえばいいか、両者の話は人間理解への視座が繊細で豊かだ。そして、両者は臨床というところで、具体的な経験の中で培ったものから語る。実践を生きること自体の…