dmachiの日記

読書メモなどです。

読書メモ

今昔物語集』。角川ソフィア文庫で読む。解説が一昔前の凡庸さと言えば言葉は悪いが、無論その知識や背景の説明はためになるものの、ベタな人間ドラマに回収してしまうような、お説教にならないようにしつつお説教でまとめているような感じで、現代語訳も果たしてセリフの言葉遣いがそのようなセンスで、なんだかなと思いつつも読んだ。本物(本物の写本)は、12世紀に編まれ、千数十の話がのってるらしい。この本では二三十の話が読める。以心伝心で事を済ます父息子の話や、子を見捨て母を助けた息子の話や、姥捨てたものの助けにいく息子の話など、印象に残った。中世の話というとぶっとんでいるのかと思いきや、割かしきちんとお話が筋道たてて語られて、内容はたしかに暴力はあるし閻魔様もあるしぶっとんでいるとはいえ、一応現代の地点から読めた。それが無理解な読みであるにせよ。中世の人の心持ちは興味深い。今なら科学の知識で世界や物事への一定の理解があるところを、彼らなりの説明なり物語なりがあったと思われて、言動が単純だったり極端だったり一見見える。けれども物事を人を、どちらがちゃんと理解していると言えるのかといえばどうなのだろうかとも思う。