dmachiの日記

読書メモなどです。

読書メモ

『身体の文学史』を何度目かにおもしろくつい読んでしまう。読む毎に考えることがあるという本になっている。明治大正と進み身体の型が失われたということが指摘され、その性格が説明される。そして戦後から現代。対応として型の喪失を意識化する他ないとい…

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五木寛之『他力』2000年。時代と共に考え抜かれた文が百も。作家ならではというのかそんな視点や想像力。また戦前を知る人の話という意味でもおもしろく。旧都破れ新都未だ成らず、という言葉があったが、数百年の変化の直中だと書かれる。

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『俺に似たひと』2015年文庫。味わい深い。エッセイ風で「俺」が父親の介護にまつわる様々な印象を語る。

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『音楽の危機』岡田暁生、2020年,。面白くて先が読みたくなる本だった。著者の本は『西洋音楽史』と『音楽の聴き方』も読んだがいずれも面白かった記憶があり、ただし中身をぼんやりとしか覚えていない。普段聞いているポップスが近代クラシックに1つのルー…

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『ヒトの壁』養老孟司。とにかく読みやすいし面白かった。 ・神様目線が生存に有効になるような社会を構築すべきではない。 というような社会論があり、 ・意味は先行的に理解されている言葉の典型であろう。~意味は外部(の体系、システム)を召喚する~意味…

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『小さいおうち』中島京子。どうも微妙に向きに合わないところがあった。よく言葉にしにくいが。しかし戦前戦中の東京のある家での生活が読めて面白い。けれどなんだか文章中に微妙な作為を余計に読んでしまって興がそがれた感がありそれが素晴らしいとか思…

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『いのちを産む』森崎和江1994年。 いのちとは、他者の核であり、自己との共通点です、と著者は書く。そして、近代的な観念である「自己」をどう越えて、「他者」とともに、「類」を生きようとするのか、いのちを育てようとする心の働きとしての社会的父性や…

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『なぜ人に会うのはつらいのか』斎藤環、佐藤優2022年。「会うことは暴力だ」「一人では欲望を維持できない」というコピーに惹かれて読んだが、その辺りのことはいくつかある社会評論や分析の中の一つの話題といったもので、深くは掘り下げられていなかった…

読書メモ

国民国家がどんなものかが気になって、ヨーロッパでの成立過程を調べる力無く試しに何度目か『国家を考えてみよう』を読んだ。なんとなくだが国家がどんな風にあるのかが理解できた。それと同時に橋本治の洞察や理解や説明の仕方が只者ではないといつものこ…

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『日本人と組織』山本七平。2007年に出された本だが文章は1970年代後半に書かれたもの。西欧と日本の組織を比べながら、どういったものか、どう考えるべきか、どうすればいいのかが論じてある。日本の組織の行き詰まりという問題意識がある。結論には長期的…

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『ポエムに万歳』2016年。2010年前後に書かれたコラム集。著者のコラムをいくつも読んでいるとその内癖になった。癖になったが続けて読むとくどく感じた。一文一文やその流れ自体を読みたくなるからだと思うが。しかし間を置くとまた読みたくなり読めば面白…

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『米原万里の「愛の法則」』2007年。講演集かつ短いのでさらりと読める。国土を海に囲まれた日本は「心の国境」を持つ必要性が低かっただとか、人間の心の振動は別な人間の心の振動と共鳴し合うとより深くより大きく喜怒哀楽を味わえるだとかの話ないし言い…

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『〈私〉時代のデモクラシー』2010年。日本社会について明解に説明がありとても面白かった。人々を仕切りで分けていた中間集団が崩壊して、突如不平等が人々の前に現れた。平等化のグローバリゼーションだ。そこにいかなる他者とも平等だとする個人がいて、…

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『地雷を踏む勇気』小田嶋隆2011年。 コラムが十数篇。どれも面白い。震災時前後の空気感を想起させてもくれた。一気に読んだが、思うに一つ一つのコラムがそれぞれ完結されたものとしてあり一つ一つの読後感を味わうのが読み方として適当らしく贅沢かと思っ…

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『日本資本主義の精神』山本七平1979年。日本の伝統を解き明かしているのだが、例えば、西洋風の神との契約ではない日本の契約。それは共同体の決まりの遵守という形になったり、物事の取り決めという意味では日本では話し合いの絶対化としてそれが行われる…

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『昭和史 戦後篇』半藤一利、2006年。沖縄返還までを一応戦後として語られる。そうすると官僚計画経済がまずくなったバブル崩壊までとそれからの歴史も見たくなる。とはいえ歴史は長い、と当たり前ながら思った。昭和以前があり日本以外の歴史もあり政治史以…

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『昭和史』半藤一利、2004年。1926年から1945年まで。通してお話として語られるから概観を理解しやすかった。文中になんてバカな戦争をしてしまったのかとあるが、やはり思うのは、中国に進出していかない選択肢もあり、三国同盟を結ばない選択肢もあり、各…

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『甲賀忍法帖』山田風太郎、平成五年。面白くて先を待てずに読む。エンタメの中毒性。

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『幕末史』半藤一利、2008年。 面白かったし幕末の大まかな流れがつかめた。語り口がわかりやすい。著者が冒頭で言うところに、薩長史観に対する反薩長史観だと。そんな著者の主観的な感想が人物や事件に対しても言われ、そういうものかと思う。でもそれが変…

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『世界史上』文庫、マクニール2008年。 初版は1967年というからそれなりに古い。とりあえず上巻だけ読んだ。1500年まで。 文明の起こりから真面目に世界各地の歴史が語られてなんとなく全体的に目を通すことができてためになる。 日本についての語りが歴史に…

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『教団X』2014年中村文則。面白かった。宗教や科学や社会についての講釈があるのがためになった。専門的に見てその講釈が妥当かは知らないが普通に小説を楽しみながら読めた。基本の路線は、人の意識や宗教や神、またそれらを洞察する人間について。話が面白…

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『東京島』桐野夏生2008年。 著者の本は初めてでこういう語り方もあるのかと思った。綺麗事ではないものがストンと書かれていて、後味が悪くこの話は何だろうと少し考えて、少なくとも自分の内にもどろどろしたものがあるし、人は状況次第で言動が変わるとい…

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『唯脳論』養老孟司1989年。 著者の本は何冊か読んだ。身体や脳化や意識や言葉などのキーワードと共に何かについて論じられることが多い。この本を読んで、その語り口の意味合いがなんとなくわかった。というかそのわからない部分がどういうものかが自分なり…

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『身体の文学史』平成13年文庫養老孟司。面白くて何度目かに読んだ。単純な印象として、とにかく著者の、言葉以前のもの、意識になっていない、意識にならないもの、そういうものとしての身体、そういうものへの眼差しと、自然への眼差しが、その印象が残る…

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宮内悠介『アメリカ最後の実験』平成28年。面白くてすっと読めた。セリフが面白かった。セリフにうんちくがあって面白かったり、さりげない心のやり取りが味だった。地の文も著者のセンスという言い方でいいと思うが、語り口に思想ないしスタイルが出ている…

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『資本主義の終焉と歴史の危機』水野和夫著2014年。 面白くてためになる本という感じだった。基本的には新自由主義、グローバリゼーションがデータと共に批判され、16世紀ヨーロッパと21世紀先進国の状況の相似からいろいろ語られる。前者は陸から海への拡張…

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『「派閥」の研究』山本七平1989年。 田中角栄や星亨のやり方や日本の伝統や明治日本の近代化の経緯を参考に派閥を探る。以下印象に残った言葉を文脈を無視してメモ。・日本は法治国家ではなく納得治国家 ・派閥の支配の仕方として、徹底的に恩を施す。この…

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『同調圧力』鴻上尚史、佐藤直樹著2020年。世間について論評してきた二人の対談。一回目の対談が5月だという。だから対談に同調圧力に対する警戒心がよく表れていた。5月と今11月では世の中の雰囲気が少し違う。新型コロナという未知のものに対する警戒心…

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『教養としての世界史』西村貞二1966年。 220ページ程で世界史を書いている。著者は世界史のデフォルメされた肖像画といっている。面白く読めた。いわゆる教科書的な記述でなく、文の調子として著者の考えを示す部分があり関心を寄せやすかった。基本的な歴…

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『乱世を生きる市場原理は嘘かもしれない』橋本治2005年。 ・我々の視点で見るという当たり前のことが忘れられやすい。我々は民主主義をまだ自分のものにしていなくて、だから「自分はどこにいて自分のポジションはなんなのか」ということがよくわからなくな…