dmachiの日記

読書メモなどです。

読書メモ

『〈私〉時代のデモクラシー』2010年。日本社会について明解に説明がありとても面白かった。人々を仕切りで分けていた中間集団が崩壊して、突如不平等が人々の前に現れた。平等化のグローバリゼーションだ。そこにいかなる他者とも平等だとする個人がいて、しかし異なる他者が発見されるという話。そこでいかに社会に値するものを〈私〉が〈私〉たちにつなげる中で築くかといったような話だったと思う。一部分の雑なまとめだが。しかしとても丁寧に文章が綴られていたようにも思った。ただやはり平等化の流れで社会の仕切りが無くなってみたら色んな人々がいて不平等が凄いなと意識され得るという話はとても端的でわかりやすかった。そこでは仕切りが無くなる理由がトクヴィルのいう平等化がグローバルに進んだからだとされている。一見世界的な市場原理の拡大など経済的なものが理由に思われそうだが。他方それは世間がバラつきこわれて従来のようには機能していないという物言いと一致するように見える。また、橋本治が新書で言っていた、社会があっての個人という本来を忘れた、最初から個人がありややもすれば個人のための社会という発想の、その両者の対比が思い出された。