dmachiの日記

読書メモなどです。

読書メモ

①『日本の難点』宮台真司2009年。えらく幅広い領域の物事が語られる。人という存在のことから法律のことまで。学問の知見を通して語られる。よくここまで語れるな凄いと思った。利他的な凄いやつが感染を引き起こすという考えが所々に出される。幸福とは何で人が幸福に近づくためにどのように考え社会設計をどのようにすべきかという内容。あとがきに、広範な領域を多少難解な知見を示してでも一人の著者が論じつくすことがテーマとなっていたと書かれていて、その通りだった。言わば著者の思想がある。最近思うが、思想を語る人の文章を少し読んで、彼らについて、現実にある権力との距離感や、現実に生きる市井の人々の思いとの距離感や、ある正しい思想を仮に前提に置くかどうかや、自分の立場の正当化が自分の語る思想に影響している度合いなどに、気が付いた。探せば他にも言えるだろうが、なんというのか、小乗仏教的に正しい思想がありそれを語るという立場か、大乗仏教のように市井の人々にまで直に届くような語りをする人か。

②『「空気」の研究』山本七平1977年。臨在感的把握により対象を絶対化してしまうことにもなる空気による支配。非人称的な固有倫理が無く、状況倫理があるのみの日本、その水=通常恒常性。そういうことについて語られる。固有倫理が無いという指摘は明白で簡潔でわかりやすくなるほどと思った。それなら状況倫理が異なる状況が複数ある場合どのように日本は調整するのかが疑問に思った。まあそれも状況倫理となる。

著者は日本社会にある何かの力をつきとめようとしている。そして空気と水の相互作用というところまで彼の考えをまとめた。その先を読みたくなった。