dmachiの日記

読書メモなどです。

読書メモ

東京島桐野夏生2008年。
著者の本は初めてでこういう語り方もあるのかと思った。綺麗事ではないものがストンと書かれていて、後味が悪くこの話は何だろうと少し考えて、少なくとも自分の内にもどろどろしたものがあるし、人は状況次第で言動が変わるという当たり前の事実への想像を、身の内に湧き起こされた。湧き起こされてそれが何だろうとも思い、というところで、あるものはあるし、あり得るものはあり得る、のだからそういうものをフィクションで見させて貰えたと思った。話は面白く、この小説の舞台が文明のない無人島だから、自らの文明への浸り具合を思わされた。そんな風に、なんだか小説自体というよりは読書によるこちらの変化を考えさせられ、そんな風に小説の持つ勢いに戸惑った。なにか感情移入の当てや客観的な視座の当てが持てない感じと言えばいいのか。