dmachiの日記

読書メモなどです。

『日本史のなぞ』感想

 2016年大澤真幸著。面白い。副題が、なぜこの国で一度だけ革命が成功したのか。その一度だけの革命を行った人、その行い、その歴史。その着想が面白くわくわくさせられるし、その中身を論じる中で歴史の勉強もできる。考えてみれば、朝廷のある西と、朝廷の影響の及ぶか及ばないかの辺境の武士の出てきた東。その西と東は違っていたんだということ。なんで武士が出てきたんだろう。

 東西といえば、糸魚川静岡構造線で自然の東西の違いが大きく出るという。東西に日本は広い。

 この本では、東から出た革命の論理を考証する。西洋や中国の革命の論理と比較しながら、日本の東から出た革命をロジックとして抽出し立てる。その論理の抽出や組み立ては、多少読むのに力を使う。その中での天皇が日本社会でどういうものかという論理付けも出てくる。それも勉強になる。そして、その革命のロジックがある、あるが、現実にそれができるのかという話にまでつながる。大体そういうところでこの本は終わる。

 革命といえば、社会での出来事だが、革命の論理となれば、その論理はもっと小さな領域でも応用できるかもしれない。というかこの本は200ページも無く分量も少なく読みやすいというのも面白く読めた理由の一つだった。気楽に読み始めやすい。